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トピックス
2015.04.09
プリント配線板における不具合について
PCB Express

 

●プリント配線板通則より抜粋

 (1)導体表面
 導体表面には、折れ・膨れ・シワおよび亀裂のいずれもあってはならない。

 (2)積層板面および銅箔除去面
 表面が平滑で、膨れ・および割れ目のいずれもあってはならない。または実用上有害なゴミ、色むら、傷、凸凹および嶋模様のいずれもあってはならない。

 (3)導体の欠損

  (a)表面層導体の導体欠損(幅5mm以下の導体欠損部の幅(W)は、導体幅の20%以内とする。欠損部の長さ(l)は導体幅を超えてはならない。これ以下でも(W)が0.05mmを超えるものは、1導体に1個以内とし、100mm×100mmの範囲内の欠損は2個以内とする。

  (b)スルホール内壁は、部品挿入に支障がなく、はんだ付け性を損なってはならない。
 めっきと穴壁・導体の間にボイドがあってはならない。めっきの欠損の大きさは穴径の25%以内で、板厚方向については内壁面積の10%以内とし、欠損を持つ穴数は、全穴の5%以内とする。

  (c)導体残りは次ページ参照

 ③印刷工程における不具合

写真8 シルクずれ

  発生するリスクがもっとも高い不具合としては、印刷ずれがあげられる。写真8のように、印刷がずれたり、インクがにじむとクリームはんだの印刷に支障をきたしたり、またははんだぬれ不十分によるデバイスとプリント配線板の実装強度の不足が懸念される。

 インクの太さ、文字高さなどをあらかじめ設定したうえでプリント配線板メーカーの社内規格を調査を実施しておく必要がある。

 ④取り扱い不備による機械的不具合

 傷や打痕など、製品の取り扱いに不備があった場合に発生する不具合で、ソルダレジスト工程の前に発生すると傷のうえからインクが塗布されるので、外観不良として判定される写真9(左)では、ソルダレジスト印刷の後の傷であるため、発生部位によっては特別採用の手続きによって製品に採用される場合もあるが、写真9のような配線をまたぐ不具合では、配線の品質を損なうリスクがあり、製品に採用することができるかどうか検討する必要がある。

写真9 打痕、きず

⑤Vカット

 NCで加工するスリットやミシン目と異なり、ずれるリスクを包含する。ずれの許容度が小さい部分での採用については、慎重に検討していただきたいと思う。実装後の分割作業も治具を使用して、ばりの発生を抑える工夫が必要である。

 ⑥表面処理

 ある意味でもっとも判定することが難しい不具合である。外観上では問題はないものの、実装作業ではんだぬれが不十分であることが少なくない。金めっき処理のプリント配線板では、金めっきの工程を保有するプリント配線板メーカーが少ないことから、外注の管理に委ねざるを得ないケースでの品質管理はいっそう困難になる。また、めっき前のプロセスで表面の洗浄が不十分であったりすると製品すべてを廃棄させられるリスクがある。
 前項で推奨したとおり、定期的に工程に出向いて実地でチェックし、試作または評価サンプルを製作して品質を確認しておくべきで、また初回のみのチェックで済ませることは避けるべきである。

品質を担保するために重要なこと

  プリント配線板を新たなメーカーに依頼する場合には、価格調査をするよりもまずは依頼先の製品の品質をあらかじめチェックしていただきたいと考える。その際は、設計部門はもちろん、実装部門の責任者も同行して確認をしていただくことをおすすめする。海外メーカーに依頼することを想定しているのであればなおさら必須である。加えて、実際の工程を見る一方で、工程の品質管理基準にも目を通すべきである。
 プリント配線板の品質を担保するのは、最新鋭の設備や実績ではない。品質管理体制がしっかりしていることがもっとも重要なのである。

 

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