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テクニカルレポート
2016.04.07
LED照明商品と実装技術
ソルダーソリューション(株)

 

はじめに

  東日本大震災での福島第一原子力発電所の事故を契機に、2012年6月、環境省は照明工業会に対して消費電力の大きい白熱電球の製造の自粛を、そして家電量販店に対して販売の自粛を要請した。ここにきて、一躍脚光を浴びているのが低消費電力、長寿命などの特徴があるLED照明であり、工場や家庭の節電対策用として急速に普及し始めている。しかしながら、白色LEDを照明用として使用するためには高輝度化が必須であり、発熱量も増大する。そこで、信頼性を確保した白色LED照明を製造するための課題・対策について紹介する。

図1 LEDの断面構造

図2 白色LED

白色LED

  LED(Light Emitting Diode)は最初に赤色が登場し、表示用として各方面で使用された。その後、緑色や橙色のLEDも開発された。青色のLEDが揃えば、光の3原色が揃うため、TV画面への応用が期待されたが、現実にはバックライトへの採用であった。

 白色LEDは図1に示すように、発光素子部(封止材、蛍光体+分散媒、ボンディングワイヤ)、リードフレーム部(はんだ、リードフレーム)、ヒートシンク部(放熱板、接着剤、樹脂ケース)から構成されている。

 白色LEDの開発はLEDの応用範囲を表示用のみでなく、照明用まで広げる画期的な成果をもたらした。LEDで白色光を得る方法は図2のように、①青色LED+黄色蛍光体、②黄緑色LED+赤色LED、③赤色LED+緑色LED+青色LED、④紫外LED+RGB蛍光体などが考えられている。しかし、演色性や製造コストの関係で青色LED+黄色蛍光体の組み合わせを採用している。

1.蛍光体

 蛍光体はLED素子の上部に分散させた状態で配置されている。青色LEDチップから放射された光の一部は黄色光に変換され、パッケージより放出される光は青色光と黄色光が合成されて白色光となる。蛍光体の劣化は輝度の低下に直接影響するため、十分な耐久性が求められる。蛍光体としては酸化物、酸窒化物・窒化物、硫化物が使用されているが、LED搭載商品が使用される環境によっては水分の影響を受け易い蛍光体もあるため、特徴を確認して選択することが肝要である。

(1)酸化物蛍光体

 酸化物蛍光体としての黄色蛍光体(Y3A15O12:Ce,Tb3A15O12:Ce)、緑色蛍光体(Ca3Sc2Si3O12:Ce)のガーネット構造をもっている蛍光体は水分の影響を受けずに安定して使用できる。黄色蛍光体『(Sr、Ca、Ba)2SiO4:Euアルカリ土類オルソシリケート』は水分の影響を受けやすい。

(2)酸窒化物・窒化物蛍光体

 酸窒化物・窒化物の蛍光体は水分の影響を受けにくい蛍光体である。窒化物赤色蛍光体CaA?SiN3:Euは白色LEDや電球色LEDを作製する際に雰囲気制御に特に注意することなく使用できるため、屋外で使用される白色LEDの蛍光体として有望である。

(3)硫化物蛍光体

 赤色蛍光体(Ca、Sr)S:Euは青色LEDの励起用として重要な蛍光体のひとつであるが、空気中の水分と反応して蛍光体自身が劣化するだけでなく、硫化物を発生して周辺の部材にも影響するため、屋外使用の商品に本蛍光体を採用する場合には水分を完全に遮蔽する封止方法を採用する必要がある。

2.封止材

 封止剤には熱硬化型樹脂が使用されているが、材料特性に一長一短があるため、LED商品が使用される環境に応じて使い分けなければならない。特に、紫外LEDでは紫外線によってエポキシ樹脂自身が劣化するため注意が必要である。

(1)エポキシ樹脂

 電気絶縁性は良好であり、従来からLEDの封止剤として使用頻度は高いが、耐光性・耐熱性が劣るため、屋外用には注意が必要である。ガラス転移点(Tg)以下では内部応力がかかり、金線の断線を起こすことがある。

(2)ソフトシリコーン樹脂

 耐光性・耐熱性は良好であり、紫外線による劣化も少ないことから、屋外用LEDに向いている。ハードシリコーン樹脂では内部応力を生じるが、ソフトシリコーン樹脂では熱衝撃性に強い特徴がある。

 

 

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