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テクニカルレポート
2018.10.26
IoT実現に欠かせない電子部品
「センサ」
NPO法人 サーキットネットワーク

 

(2) 熱電対

 熱電対は別名サーモカップルと呼ばれることがある。2種の異なる金属A、Bを接合し回路を形成し、両端の結合点(基準接点、測定接点)に温度差を生じるとゼーペック効果により、回路に熱起電力を発生する(図9)。

 熱電対はこの回路の片方の接点の電位差を電圧計で測定することで、温度を検出する温度計である。2種の金属の組み合わせを変えることで、測定可能な温度範囲を幅広くすることが可能なため、各産業界で広く使用されてきている。特性のばらつきが小さく、耐熱性や耐食性が高いため、高音域やガスの雰囲気中での使用に耐えることが可能である。

 熱電対の起電力特性については3つの法則がある。

①均質回路の法則

 金属線が均質であれば局部的に加熱をしても電流が流れないというもので、熱電対の両端が均質であれば途中の温度分布に熱起電力は影響されない

 

②中間金属の法則

 回路中に異なった金属が入っても、その両端の温度が等しいときは影響は生じないというもので、このため熱電対温度センサに異種金属である端子台やコネクタが使用できる

 

③中間温度の法則

 回路中の中間温度が既知である場合、測定接点、中間温度、基準接点それぞれの温度差から得た起電力の和と全体の起電力は等しい、というもので、熱電対の温度測定に必要な冷接点補償回路はこの原理に基づいて設計される

 

 実際の測定に際しては、基準接点に0℃の氷を入れた水を用いるか、あるいは温度補償回路の入った電圧計を用いる(図10)。

 熱電対は仕様がJISC1602により規定されている。また使用する金属により測定範囲が異なるが、その一例を表1に示す。

 

(3) 赤外線センサ

 赤外線センサは、赤外線を受光し電気信号に変換するセンサである。人間の可視光領域外なので、ヒトの目に見えない物を見ることができる。また対象物の温度を遠くから非接触で瞬時に測定できるなどの特徴をもつ。大別して、熱型と量子型とがある(図7)。

 熱型には簡易的に広く使用されているものに、焦電方素子がある。原理はピエゾセラミックス(圧電素子)が熱源から発せられる赤外線を受光すると素子の温度が上昇し、電気的性質が変化することを利用したものである。量子型と比較すると簡便ではあるが、解像度、感応速度などは量子型のほうが勝っている。

 いっぽう、量子型は可視光線用の受光素子(CCD、CMOSなど)と原理的に同様であり、光子が半導体を構成するPN結合部分に入ってきたときに生じる電子の動きを検出するものである。

会社名
NPO法人 サーキットネットワーク
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