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テクニカルレポート
2018.12.07
次世代洗浄の新たな課題 洗浄方法の適正化
洗浄技術も進化が問われている
ゼストロンジャパン(株)

 

3. 難溶性物質の台頭

 

 では、実際に洗浄需要が増加傾向となってきている日本が、具体的にどのような問題を抱えつつあるのか、説明していく。

 

 まず、洗浄時の洗浄対象物に関しては、ソルダリング前後で図3のように変化し、ソルダリング後は「フラックス」「チキソ剤」「活性剤」が主体となった混合物に変化することとなる。そして熱変化が加わることで「金属塩」が発生する。有機溶剤を主体とした洗浄で長らく日本は洗浄を行ってきたが、近年は状況が変化してきている。環境規制の観点だけではなく、前号で既報となっているが、ソルダペーストには性能向上の為、様々な物質が添加されるようになり、ソルダリング後には、「チキソ剤用途の新規有機化合物」「レアメタル金属による新規金属塩」の影響により、洗浄は難しさを増しているのである。この点に関してより詳細に論述するために、ソルダペーストに使用されている主な物質名を以下に記載する(図4)。

 

1. チキソ剤の「難溶化」と「軟化点」変化

 一例としてチキソ剤に使用されていることが多くなっている、アミド化合物に関して注目したい。使用頻度が高まっている背景には「リフロー温度の高温化」が理由として挙げられる。実際にアミド化合物は優れた熱特性が得られると共に、比較的安定性が高いことからソルダペーストの印刷安定性や経時安定性に大きく寄与している。しかし、添加されているアミド化合物の分子量が増加するに従い、水・有機溶剤に対し難溶性となる傾向にあり、また軟化点も高くなる(図5)。

 

チキソ剤は熱変性して硬化したフラックス成分他、多数の含有物質と混合状態となっている。従ってチキソ剤を軟化させることができない温度域では、残渣そのものが硬化状態となるため、洗浄には不利な状況となる。必然的に加温することで残渣は軟化する傾向となるが、従来の有機溶剤を主体とした洗浄液では、軟化点である高温域(60℃以上)まで加温することは、安全面や設備上の観点から容易ではなく、また、チキソ剤成分に対して溶解性に限界があることからも、洗浄効果は限定的となってしまう。

 特に無洗浄タイプのソルダペーストの場合、洗浄はより難化してしまう傾向となる。近年の無洗浄タイプのソルダペーストは、残渣表面をより硬質化させている。これは残渣内部を完全に封止することで、水や空気の接触を断ち残渣を安定性化させる為である。いっぽうで、完全な硬化状態では物理的衝撃や経時変化により、残渣にクラックが発生してしまうため、それらを防止する観点から残渣内部は適度な弾性を維持できる仕様となっている。

 

 実際に残渣は図6のような状態となっており、表面は難溶性層で硬質化し、なおかつ内部はチキソ剤を主体とした混合体で構成されているため、「溶解洗浄での洗浄」は著しく限定されてしまうこととなる(図7)。

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ゼストロンジャパン(株)
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