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テクニカルレポート
2015.05.11
最近のプリント配線板技術の動向
髙木技術士事務所

 

プリント配線板の電気特性 1

 プリント配線板には電気特性、機械的特性、化学的特性、実装性など多くの特性が要求される。この中で電気特性は重要である。プリント配線板の上を伝搬する信号は、年々、高周波化し、十数GHzオーダーになっており、さらに、矩形波パルスのため、呼称周波数より、数倍以上の高調波より構成するので、この周波数の忠実な伝送が必要なこととなる。

 電気特性として求められるものは次の通りである。

1.特性インピーダンス

 高周波伝送の基本回路は図1に示すものである。

図1 高周波伝送ラインにおける導体回路の等価回路

特性インピーダンス(Z0)は次の式で表される。

ここで、R : レジスタンス、G :コンダクタン L :インダクタンス、 C : キャパシタンス、ω=2πf である。

高速伝送においては特性インピーダンスの整合とその精度が重要となる。

2.表皮効果

表4 信号周波数と導体厚さ

 信号が高周波となると、信号電流は導体の表面を主として流れる。周波数の関数で、その厚さ(δ)は次の式となる。周波数と厚さの関係は表4に示した。

ここで、δ : 表効果の厚さ、σ : 導電率、μ : 透磁率、である。

 表皮効果を考えた導体損(αR)は次式で、βは定数である。

また、信号の伝搬速度は基板材料に依存し、伝搬速度(ν)、および、誘電損(αD)は

となり、低誘電率、低誘電損失の材料が重要となる。

 これらの特性ともに機械的特性、実装性との整合を必要とし、プリント配線板を実現するためには絶縁材料の改善と生産技術の高度化が必須なものとなる。

プリント配線板の構造とそのプロセス

図2 基本的なビルドアップ構造のプリント配線板

  もっとも基本的なビルドアッププリント配線板は図2に示すものである。そのプロセスは図3に示した。ほとんどの技術はめっきスルーホールプロセスと同等であるが、絶縁材料と微細な穴をあける穴あけ法が異なっている。

 この基本的な構造はビルドアップ層の支持体としてコア基板を用いている。このコア基板は厚さが大きく、低密度のため伝送特性が劣化するので、コアレス基板が必要となってきている。

 

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