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テクニカルレポート
2016.12.09
今日的な要求に応える、X線ステレオ差分方式による 実装基板検査
(株)アイビット

 

実装基板用X線CT検査機の長所/短所

  そこで登場するのが、X線CT(Computer Tomog-raphy)を用いた装置であった。3次元解析を得意とするX線CTは、両面基板の切り分けはもちろん、BGAの接合部の検査も可能となった画期的な装置となった。しかしながら、装置価格は高価な設備となっており、普及への足かせとなっている。

 CT検査機の特徴

 ①3次元検査が可能
 ②価格が高価である
 ③検査速度が遅い

 CT検査機は構造が複雑でソフトウエアの費用も高いことから、高価格となってしまうのである。

X線ステレオ差分方式の長所/短所

図2 X線ステレオ差分方式の原理

前述した2種類の検査機の中間を埋めるものが、当社が開発した『X線ステレオ差分方式』である。

 X線透過装置では両面実装基板が検査できない、X線CT検査機では価格が高価すぎる、しかもインライン機では検査速度が遅く使えない。この両方の問題を解決できるのが上記のシステムである。

 以下に、その特徴を記述する。

 ①両面実装基板の切り分けが可能
 ②安価である(CT検査機の1/2程度)
 ③高速検査が可能
 ④コンパクトな筐体

 まず、両面実装基板のA面、B面の切り分け原理について説明する(図2)。

 A、B面の鉛直上からのX線照射、撮影ではA−Bは重なり合ってしまい、A−B面の分離は難しい。そこでX線の入射角をずらして照射する。カメラはそのX線光軸に合わせて移動する。これを左右方向に行い複数画面を撮影する。撮影画像はともにAとBが分離した画像となる。

 この2枚のX線画像を用いて差分処理することで、AもしくはBのみの画像を表示することができる。この方式は撮影枚数が少ないことから検査時間も短縮できる。最短2秒でA−B面を切り分けることが可能である。

 切り分けた画像を写真5に表示する。

 この原理を用いてA−B面を切り分けBGA面のみ取得した画像を写真4、写真5に表示する。

X線ステレオ差分方式によるA-B面の切り分け

  そして、写真5を参照していただきたいが、重なっている画像からはどこがブリッジしているか不明であったものが、A−B面の切り分けができれば、検査は簡単にできることがおわかりいただけると思う。

 ステレオ差分方式の検査機能について、検査部品検査内容を表2に示す。

表2 ステレオ差分方式の検査機能

写真6 X線ステレオ差分方式の3D検査

  ここで示すように、X線ステレオ差分方式は実装基板上のほとんどのSMT部品のはんだ付け検査を可能としている。

 BGA以外にもQFN(Quad Flat No-Lead Package)などフェイスダウン実装においては、有効であり、価格、検査速度におけるコストパフォーマンスとしては高い能力がある。

今後の課題

現在はA-B面での切り分けを行っているが、3D検査に対する要求も高い。そこで現在、ステレオ差分方式で3D検査を可能とするシステムの開発を進めている。写真6は、X線ステレオ差分方式でBGAの未接続部分を撮影した事例である。矢印部分の接合部が小さいことがわかる。この部分が未接続部分である。

 当社では今後さらに開発を進め、実装現場が満足する『検査装置』を開発していく所存である。

 

 


 

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(株)アイビット
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