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テクニカルレポート
2015.11.27
はんだ付け用フラックス(活性剤について)
(株)クオルテック

 

6.はんだ付け性向上のための取り組み

  はんだ付け性の良いフラックスでは、常温で金属との反応性が弱く、はんだ付け時には確実に酸化膜を除去する活性剤を見つけ、最適量を決める事が重要となる。しかし、現実にはこのような化合物はなかなか存在しない。そこで、活性剤を探すだけではなくはんだ付け性と信頼性を両立させるための技術開発が進められている。

 よく知られている方策として、『失活性フラックス』がある4)。これは、強力な活性剤を使用してはんだ付け性を確保するとともに、フラックスの信頼性に影響を及ぼす官能基をリフロー中に他成分で塞ぎ、無害化する考え方である(図8)。

図8 失活性フラックス

 また、ロジンの反応性を向上させ活性剤を使用しない(微量に抑える)フラックスについても報告されている(図9)。ロジンのカルボキシル基を変性することで、はんだ付け性を向上させる取り組みである5)。

図9 ロジン変性による活性向上

他にも、『加熱中に活性剤を揮発させる』『はんだ粉に有効成分をコーティングする』など、さまざまな方向から、はんだ付け性の向上と信頼性の両立について研究開発が行われている。

 長い間、はんだ付け効果にすぐれ、微量であれば信頼性への影響が少ないハロゲン類が、活性剤として多く使用されていた。近年、環境保全の重要性に対する認識の高まりからハロゲンフリーの要求が強まり、はんだ材料もこれに追従している。古くは脱フロンそしてPbフリー、ハロゲンフリーと、環境に関わる問題でフラックス設計の制約は増している。しかし、市販のはんだ材料は、それらの制約に対応しつつはんだ付け性を確保した上で、保存期間や使用可能時間も長くなっている。はんだ付け材料の性能は、確実に向上しているように感じる。


<参 考 文 献>

1)(社)日本化学会編:化学便覧 基礎編?、改訂5版、丸善、2004

2)濱田正和:マイクロソルダリング技術、初版、日刊工業新聞社、54、2002

3)野々垣、他:“実装基板の絶縁特性に及ぼすフラックスの影響”、回路実装学会誌、Vol.10、No.2、pp.96-100、1995

4)菅沼克昭:鉛フリーはんだ 技術・材料ハンドブック、初版、工業調査会、53、2007

5)特開平09-070689、ハンダ付け用フラックス組成物およびクリームはんだ組成物

 

 

会社名
(株)クオルテック
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