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テクニカルレポート
2018.11.16
「水素社会構築」の現場を見る
特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構

 

2. 自立型エネルギーシステム

 「世界初の自立型水素エネルギー供給システム」として、東芝が「H2One」の商品名で販売を開始し、川崎マリエン(写真7)、ハウスデンボスの「変なホテル」、横浜港流通センター、JR武蔵溝ノ口駅(写真8)、東急建設技術研究所などに導入されて稼働している。

 

 

 川崎マリエンでは、テニスコートの近くに太陽光発電設備、蓄電池、水素を製造する水電気分解装置、水素貯蔵タンク、燃料電池などを組み合わせた自立型のエネルギー供給システムH2Oneを設置し、東扇島中公園バーベキュー場の屋根に太陽光発電パネルが搭載され、再生可能エネルギーを使って水を電気分解し、「水素」を得ている。水と太陽光のみで稼働できるため、災害時にライフラインが寸断された場合でも、自立して電気と温水が供給でき、周辺地域の帰宅困難者の一時滞在施設に指定されている川崎マリエンにおいては、貯蔵した水素を使い、300名に約1週間分の電気と温水を供給することができるシステムになっている(※8)

 次にJR武蔵溝ノ口駅では、蕎麦屋の跡地を活用してホーム内に蓄電池、水素製造装置、水素貯蔵タンク、純水素燃料電池で構成されたシステムを設置(写真8)し、太陽光発電で得た電力で「水素」を製造している。

 災害時にライフラインが寸断された場合においても、系統電源に頼ることなく必要なエネルギーを供給することができ、発生した「水素」は、タンクに貯めておき、災害時には「水素」を用いて燃料電池で発電し、コンコースやトイレなど駅構内の照明用に供給ができる仕組みになっている。

 平常時は、電力はホーム上の照明に供給し、お湯はホームの待合スペースに設置するウォームベンチを温めるために使用されている(※9)

 

4. 「水素社会構築」に向けての実証実験

 

 横浜の京浜臨海部に風力発電機「ハマウィング」が設置されており、その風力発電機で得た電力で、自立型エネルギーシステム(H2One)を使って、水を電気分解して、”水素”を製造し、水素用コンテナで水素を必要とする場所に運び、倉庫で使用する燃料電池フォークリフトで使用する一連の実証実験を神奈川県、横浜市、川崎市、岩谷産業、東芝、トヨタ自動車で実施している(写真9?写真19)。

 

 

 燃料電池フォークリフトの燃料電池は、トヨタの「ミライ」で使用しているセルを使用している。倉庫内ではガソリン駆動のフォークリフトでは排気ガスが出て好ましくなく、排気ガスの排出しないフォークリフトが要望される背景がある。燃料電池フォークリフトは排出するのは「水」なので問題ない。

 ただし、倉庫内を、水をまき散らすような形となるので、排出する水は、貯めておいて、ときおり、倉庫外で排出する作業が必要となることが実証実験で判明している(写真20)

 

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特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構
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