テクニカルレポート

2019/06/14 / テクニカルレポート

シリーズ・さまざまな研究所を巡る(第7回)

〜鉄道総合技術研究所(その2)〜

厚木エレクトロニクス  加藤 俊夫 氏

 

 

3. リニアモーターカーの開発

 

 鉄道総研の最大の業績は、リニアモーターカーの技術を完成したことであろう。

 新幹線が東京・大阪間に開通した1960年代、次世代の鉄道について、時速500㎞/hで東京・大阪間を1時間で結ぶような新技術についていろいろ議論された。

 当然、線路の上を車輪が回るのでは粘着力不足(車輪が空回りする)により、この速度は実現できないので、車体を浮かすことが考えられた。

 すでにイギリスやフランスでは、ホーバークラフトのように空気で浮上するホーバーカーが試作されていたが、騒音が大きく実用化は無理であった。

 ドイツでは、初期には超電導方式も検討されたが、通常の電磁石による方式のリニアモーター車の開発が進められた。

 日本では地震が多いこともあって、10㎝の浮上が必要と考えられ、そのために必要な磁力を得るには強力な磁石が必要であった。

 そこで、超電導による磁石の使用が決定された。

 世界中の誰も開発していない未知の技術への挑戦であった。

 

1.超電導による磁石

 超電導現象は、1911年オランダのオンネスにより発見された。

 液体ヘリウムの温度(絶対温度4℃、すなわち-269℃)まで冷却すると、水銀の電気抵抗がゼロになることを発見した。

 その後、超電導の現象はいくつかの物質で発見されたが、なぜそんな現象が起こるのか長い間、不明であった。

 それを理論的に解明したのはバーディーン、クリーパー、シュリファーの3名でその頭文字からBCS理論といわれ1957年であった。

 超電導物質をループ状にして電流を流すと、抵抗がゼロなので永久に電流が流れ、発生する磁場も永久に続くので通常の磁石と同じように使えるわけである。

 リニアモーターカーで使用されている超電導電磁石のコイルは、ニオブ・チタン (NbTi) 合金系の極細線を数千本束ねて銅に埋め込まれた超電導線のループ(巻線)で、磁束密度は約5T(テスラ)の強力な電磁石を構成することができる。

 超電導状態を維持するためには、液体ヘリウムの入った容器に入れ、輻射シールド板が設けられ、その外側は液体窒素で(-196℃)に冷却され、内部は真空で断熱されている。

 

2.リニアモーターカーの構造

 リニアモーターカーが進行するには、3つの力が必要である。

 すなわち、前方に推進する力、車体を浮上する力、側壁から左右にぶれないようにガイドする力。

 これらを車両内に設置した超電導磁石で行っている。

 

(1)超電導磁石による推進力

 まず、前方へ推進する力は、図8のように軌道側壁に設置されているコイルの磁場と、車内の超電導による磁場による力によって行っている。

 

 

図8 リニアの推進の原理

 

 前方のコイルには電流を流さなくてはならないが、これは車内からでなく本部からコントロールしている。

 本部では、列車がどの位置にいるかを知って、その列車のある場所のコイルに電流を流す。

 本部で正確な車両位置を知るため、車両の発信機から一定周波数の信号を送る。

 軌道側壁のアンテナは車両側から発信した信号を受信し、この信号を合成して正弦波を構成する。

 正弦波の数をカウントすれば、列車の絶対位置が検知できて、その精度は数cmと非常に正確である。

 したがって、リニアモーターカーでは、運転手は居ても居なくても関係なく、運転は本部が行っている。

 

(2)超電導磁石により浮上

 電磁誘導の原理を中学校で習ったおぼえがあると思う。

 コイルに磁石を近づけたり遠ざけたりするとコイルに電流が発生するという原理である。

 リニアモーターカーが進行すると、側壁に設置されているコイルに電流が流れ磁場が発生する。

 浮上コイルは、上下二つのコイルが8の字型に接続され、垂直な側壁に配置されている。

 車両の超電導磁石が浮上コイルに近づくと、8の字型コイルにそれぞれ逆向きの誘導電圧が発生して互いに打ち消しあい、結局、誘導電流は流れず浮上力も発生しない。

図9 リニアモーター車の浮上の原理(資料は鉄道総研提供)

 

 いっぽう、超電導磁石が浮上コイルの中心より下方だと、上側のコイルよりも下側のコイルに発生する誘導電圧が大きくなり、超電導磁石と同極になって反発力が発生し、逆に上側のコイルは異極になって吸引力が発生し、結局、図9のように車両に浮上力が働くことになる。

 ただし、駅を出た直後など低速の時には、側壁のコイルの電流値が低く十分浮力が得られないので、ゴム製のタイヤを出して線路の上を走行することになる。

 

(3)超電導磁石により左右のブレをガイド

 図10は、車両がどちらかの側壁に近づいていると、反発して正常な位置に戻す力が働き、左右のブレを修正するガイドの原理である。

図10 リニアモーター車の左右ブレを防ぐガイドの原理(資料は鉄道総研提供)

 

 車両が左右どちらかに片寄った場合には、近づいた側と遠ざかった側でガイドコイルに発生する誘導電圧に差が生じて電流が流れる。

 その結果、近づいた側のコイルと超電導磁石との間に反発力、遠ざかった側のコイルとの間には吸引力が発生して、超電導磁石を中央に押し戻す。

 こうして、常に車両は側壁の中央を走るようにガイドされる。
このガイドも浮上力と同様、車両の速度とともに大きくなり、高速になるほど車両の姿勢は安定する。

 

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