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スペシャルインタビュー
2022.06.20
長寿命/高トルク化を目指した超音波モータ
〜ロボットアームを含めた自律移動型ロボットにも展開〜
株式会社 Piezo Sonic
代表取締役 多田 興平 氏

■御社のコアとなる超音波モータについてお聞かせください

 

多田 : 超音波モータは、他のモータと比べて低速/高トルク、小型/軽量であり、高い位置制御性を有するといった特徴があります。また、種類としては大きく分けて2つあり、1つは直進運動の「直動型」と、もう1つは回転運動の「回転型」です。その中で当社は、さらに枝分かれした「高トルク型」と呼ばれる回転型超音波モータの中でも、特に難易度の高い超音波モータをメインにしたビジネス展開をしています。

超音波モータの原理は、直動型も回転型も基本的に一緒で、通常のDCモータなどにあるようなマグネットやコイルは使用せず、その代わりに電圧を加えると伸びたり縮んだりする圧電セラミックを使用します。その圧電セラミックに、プラスとマイナスの電圧が交互に変化する交流信号を加えて連続した伸縮運動発生させます。

さらに、この伸縮運動を金属で増幅させると、金属表面が海の波面のような動きをつくり出します。素材は金属ですが、イメージとしてはちょうど海の波のような状態です。海の波にビーチボールを投げ込むと、行ったり来たりしますが、例えばそのビーチボールがずっと連なっていると、向こうに行ってまたこっちに戻ってくる動作をします。その運動を360度ぐるっと金属表面で行っているのが、回転型超音波モータの回転原理になっています(写真1)。

写真1 超音波モータの原理

 

回転型超音波モータでは、このビーチボールの代わりにロータと呼ばれる回転体をステータと呼ばれる波面運動をしている金属表面に押しつけ、ロータ・ステータ間の摩擦力を利用して回転しています。この摩擦力というものは、まだ学問としても正確には解明されておらず、摩擦係数も様々な環境で変化するので、同じ素材だからとか同じロットだから同じ摩擦になるかというとそうではなく、素材面や材料面でのノウハウを自社で蓄える必要があります。さらに、最終的に圧電セラミックを効果的に動かすための電気回路の知識も必要になります。

このように、回転型超音波モータを開発、製造するためには「素材」、「構造」、「回路」、「摩擦」といった4つの知識とノウハウが必要となり、どれか1つだけ優れていてもバランスが崩れて上手く回らないというのが、このモータの特徴にもなっています。

また、これらの原理を指し示すような書物なども存在しないので、開発しているメーカーはワールドワイドでみてもほとんどなく、高トルク型に関しては、私の知る限り当社を含め3社ほどです。特許についても、何点か出願されていますが、実際に肝となる部分はある意味それが書物となり残ってしまうので、当社もそうですがどのメーカーも特許として出願せずに独自のコア技術として活かしています。

会社名
株式会社 Piezo Sonic
所在地
東京都大田区(中央事業所)