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スペシャルインタビュー
2022.07.15
ロボットとアプリケーションのセットで応える自動化相談
〜ユニークな製品を活かした特徴ある課題解決〜
ABB株式会社
代表取締役社長 兼 ロボティクス&ディスクリート・オートメーション 事業本部 事業本部長 中島 秀一郎 氏

エレクトリフィケーション、プロセスオートメーション、モーション、ロボティクス&ディスクリート・オートメーションの4つの事業領域でグローバル展開するABBグループの日本法人となるABB株式会社。今回は、その中のロボティクス&ディスクリート・オートメーションに含まれるロボット事業にスポットを当て、日本国内での事業概要や最近注力している協働ロボットについて、代表取締役社長 兼 ロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業本部 事業本部長 中島 秀一郎 氏にお話を伺った。

 

■御社の概要についてお聞かせください

 

中島 : ABBは、ASEA社とBBC社が1988年に合

併してスタートした企業です。本社はスイスのチューリッヒで、日本法人の当社は品川区大崎に拠点を置き、日本国内の21都市に営業所やサービス拠点を展開しています。

ABB全体としては、エレクトリフィケーション、プロセスオートメーション、モーション、ロボティクス&ディスクリート・オートメーションの4つの事業領域を定め、日本ではそれらを事業本部と呼称していますが、その責任者がすべてスイスの本社に勤務しているかというとそうではなく、場所を問わずグローバルに展開しています。ABB全体で従業員は10万人強いますが、本社には200人弱ほどしかおらず、日本でイメージする本社機能とはちょっと違っており、中央集権的ではなくかなり分散したビジネススタイルを進めています。

事業の概要としては、エレクトリフィケーションでは変電所からソケットまで幅広い製品、デジタルソリューションおよびサービスポートフォリオを提供しています。

プロセスオートメーションでは、業界固有の統合されたオートメーション、エレクトリフィケーション、デジタルソリューションおよび制御技術、ソフトウエア、高度なサービス、ならびに計測/分析、海運/船舶、ターボチャージング製品など、プロセスとハイブリッド産業向けの幅広いソリューションを提供しています。

モーションでは、機械式パワートランスミッション製品および統合されたデジタルパワートレインソリューション、ならびにモータ、ジェネレータ、ドライブ全般およびサービスをラインアップしています。

そして、ロボティクス&ディスクリート・オートメーションでは、ロボティクス、マシンおよびファクトリーオートメーションにおける高付加価値ソリューションを提供しています。

これら4つの事業は、日本国内でもすべて行っており、最近ではエレクトリフィケーションにおいて、特にEV化の波が急速に進む状況下で、EV向けの急速充電器といった製品を中心に事業機会が急激に増えています。

また私は、日本法人の代表取締役ではありますが、ロボティクス&ディスクリート・オートメーションおよびロボティクス事業の国内責任者でもあり、今回はロボティクス事業を中心にお話させていただきたいと思います。

 

■では、統括されているロボティクス&デスクリート・オートメーション事業本部およびロボティクス事業の概要、日本国内での展開などについてお聞かせください

 

中島 : ロボティクスのオペレーションは、全世界的には現在54ヵ国で展開しており、最近ではアフリカなどへの展開もスタートさせ、徐々に増えています。ロボットの生産工場については、スウェーデン、中国、アメリカに拠点を置き、R&Dの拠点については、生産工場の拠点以外にも様々な地域に点在しています。

また、ロボットのラインアップについては、デルタ型ロボット、多関節型ロボット、協働ロボット、スカラロボットなど、豊富な種類を取り揃えており、可搬重量も500〜800kgまで対応し、軸数はスカラロボットが3軸、4軸なので、7軸、8軸まで用意しています。

本日はロボティクス事業に焦点を当てると申し上げましたが、ディスクリート・オートメーションに相当する事業に関しては2017年にABBのグループ会社となったB&R社が担当しています。日本国内では同社の日本法人であるB&R株式会社と連携して事業展開を進めています。それにより、ロボット単体だけの提供ではなく、革新的な搬送装置やパネルPCなど、例えていえば安全柵の内側すべてを我々が提供することもできます。

基本的に、最終的にロボットや自動化システムがどのような収まり方をしても構わないのですが、「実際にロボットをどのように使うか」といった自動化の着眼から、構想やシステムの設計を一緒に進めていくのが、ABBの特徴になっています。そのために、溶接や塗装、ピッキングなどのアプリケーションを理解した人材がいるソリューションセンターを全世界に展開しており、日本ではその一環である施設をアプリケーションセンターという名称で呼び、設置しています。

このような特徴から、自動化相談、課題解決のパートナーとしてABBを選んでいただくケースが多く、ロボット自体の販売シェアは少ないですが、売上げのシェアは付加価値によって相対的に高くなっています。

そのようにご相談いただく上で、様々な用途(アプリケーション)における使いこなしのノウハウが重要になります。日本での展開については、元々塗装の自動化からスタートしており、サービス拠点も国内自動車メーカーのある地域に設置し、一般産業向けや食品/医薬品/化粧品の三品産業向けへと市場を広げています。海外では色々なロボットアプリケーションを手掛けていますが、国内ではより高い付加価値を提供できる用途として、“塗装”、“小型部品の組み立て”、“包装工程の自動化”、“力学センサを使用した組み立て検査”、“機械加工の自動投入/取り出し”、“高軌跡精度のアプリケーション”といった6つの用途、アプリケーションに注力し、事業を進めています。

塗装分野を例に取りますと、「塗装ブースのレイアウトをどうしたらいいか」とか、「塗装ブースのロボットのレイアウトをどうするか」といったお話からお客様と一緒に進めていき、機器単体からブースなどを含む設備全体を納めさせていただくケースもあります。その意味で、ロボットメーカーだけでなく、設備メーカーやシステムインテグレータと競合するケースもありますが、お客さまの課題に応じて柔軟にそうした他企業とのパートナーシップも行っています。

他のアプリケーションでいえば、当社は他の国内ロボットメーカーと比べて、協働ロボットに注力している比率が高く、ラインアップも特徴のあるユニークな製品を用意しており、今年も新たなラインアップをリリースしています。

会社名
ABB株式会社
所在地
東京都品川区