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スペシャルインタビュー
2022.07.12
“エンジニアリングDX”をコンセプトにDXの普及を目指す
〜DXの核となる4つの要素技術で事業を展開〜
キヤノンITソリューションズ株式会社
執行役員 エンジニアリングソリューション事業部 事業部長 稲村 嘉光 氏 エンジニアリングソリューション事業部 エンジニアリング第二技術本部 IoT技術部 IoT技術第一課 課長 稲山 一幸 氏

■では、エンジニアリングソリューション事業部の概要と取り組みなどについてお聞かせください

 

稲村 : 我々の所属するエンジニアリングソリューション事業部は、2003年に住友金属工業株式会社のCADのユーザー部門や製造業向けのITプロダクトの販売・サポートを行ってきた部門独立した機能を含む子会社と、2006年にクボタソリッドテクノロジー株式会社のCAD事業をM&Aにより、それらの事業を引き継いだ組織です。そして、グループ会社のCAD統合を業務面から支えてきたキヤノンソフトウェア株式会社の合併により、いわゆる「ユーザー部門」「商品販売会社」「実際にCADを定着、あるいは周辺開発やサポートを行ってきた」といった、これら3つのDNAが合体して成り立っています。

我々はSIとして、いわゆる「パッケージソフト」といったツールを販売するだけでなく、実際に業務に定着させる実践的な力を保有していると自負しています。

その中で、エンジニアリングソリューション事業部の取り扱っているソリューションとしては、大きく4つにカテゴライズしています。1つ目は今お話ししたCADで、2つ目は最近非常に注目されているPDM/PLMのソリューションです。

そして3つ目は、先日開催された「画像センシング展2021」の当社ブースでも展示したIoTソリューションで、どちらかというとIoT基盤全般ではなく、画像センシング技術や画像処理技術、データ収集・蓄積・監視制御といったFA技術など、我々が長年培ってきた経験を活かせる要素技術の提供です。

最後の4つ目は、xRソリューションの提供です。xRとは、MR/AR/VRの頭文字をxに変えた、これら製品領域の総称です。こちらは、各方式の特徴を理解し、お客様の目的に応じた最適な方式を提案可能なのが特徴で、これが我々の最大の強みにもなっています。このように我々の事業部は、どちらかというと製造/流通業界におけるエンジニアリングチェーンを対象にビジネスを展開し、その中で“エンジニアリングDX(デジタル・トランスフォーメーション)”というコンセプトを掲げています。我々の強みとする保有技術が分断的にならないように、有機的に結合して効果を発揮できるソリューションとしての提供を進めています。

稲山 : 私の方から、国内製造業の背景を踏まえて、事業部の取り組みについてもう少し説明させていただきます。

現状では、「長引く低成長」「急速な人口減」「未知の高齢化」といった静かなる有事に加え、コロナ禍により国内製造業が対峙すべき課題や制約が増加しています。その中で、国内製造業の課題として経済産業省も挙げている“2025年の崖”があります。

これは、「2025年までにDXの導入なくしては非常に大打撃を受ける」という趣旨のもので、その企業の変革力が、2025年の崖を克服し、Society5.0といった我が国が目指す社会に繋がるとしています。しかし、「2021版 ものづくり白書」では、製造事業者に限らず、95%以上の企業で導入に至っていないとされています。また、変革の内容としては、まず、設計や開発領域において、3DCADやPLMによる業務改善が求められ、製造現場では、スマート工場を目指すべく、xRによる作業指示やIoTによる遠隔制御や自動化、AGVやロボットによる無人化などが求められています。このような背景において、我々の保有している4つにカテゴライズされた技術がすべてDXの核となるため、これらを活かしたビジネスに取り組んでいます。

ここで、各ソリューションの説明を少しさせていただきます。CADソリューションは、部品、成形品をつくり上げるために必要なソフトウエアで、当社では導入の規模から活用範囲を幅広く展開しており、現段階では2Dから3Dへの変革を行っています。

PDM/PLMソリューションは、3Dデータを格納し、製造のライフサイクル全体にわたって製品情報を管理するソフトウエアで、エンジニアリングチェーン全般をサポートしていきます。こちらも、導入の規模から活用範囲を幅広く展開しています。

xRソリューションについては、キヤノングループでMR技術を中心に長年にわたりxR分野の研究/開発、販売/導入に取り組んでいます。産業向けxRシステムの豊富な導入実績に加え、エンジニアリング分野での経験とシステムの川上から川下までをトータルでサポートする強力なSI体制により、お客様に最適なソリューションの提案を行っています。そして今年、当社MRシステム“MREALシリーズ”の最新機種となる『MREAL S1』をリリースし、先日開催された「画像センシング展2021」において実機を初展示しています。

IoTソリューションについては、イメージソリューション(IM)とFAソリューション(FA)の2つを提供しています。IMは、キヤノングループのイメージング技術であるAIイメージング/ハイパースペクトルイメージング/VisualSLAMイメージング技術など画像処理ソフトウエア技術の提供により、様々な課題解決に貢献していきます。またFAは、設備やプラント、または工場や製造現場における各種センサからのリアルタイムなデータ収集/蓄積、監視制御、ビッグデータ分析、BIツールまで、SCADA/MESと呼ばれる領域のソフトウエアを提供しています。

そして、製品ライフサイクルを司るPLMを中心に、これら5つのソリューションを有機的に連携強化した技術を“エンジニアリングDX”と名付け、これを当社独自のコンセプトとして打ち出しています(図2)。

図2 エンジニアリングDXにおける技術の連携イメージ

 

活用領域としては、オフィスなど設計/開発を行う環境ではPLMをベースにCAD/xRの連携により、開発設計/業務改善を提供することができ、工場や現場などの環境ではIM/FA/xRによるDXにより、自動化/無人化/品質改善を提供することができます。それぞれの活用領域で異なる価値において、当社では双方に対応できることが大きな強みになっており、“エンジニアリングDX”を活用していただくことで、DXの導入を加速させていきたいと考えています。

会社名
キヤノンITソリューションズ株式会社
所在地
東京都港区